第8公 こたつとキンクマとみかん
嫁がみかんを買ってきた。俺らは、二人でこたつに入り、みかんを食べる。綺麗な色をしている。そして、甘い。
あまりの美味しさに、無言でみかんをパクパクと口に入れ続ける。
それはマツコとIKKOが、ひまわりの種を食べている姿と重なる。
『あら、やだ。止まんないわ、ひまわりの種!』
『どんだけ〜』
きっと、こんな事を言いながら、奴らモフモフは食べているに違いない。
「ねぇ、あなた。みかん、マツコとIKKOにもあげてみない?」
それは良いアイデアだ、嫁よ。我が家のモフモフ達は、キャベツ、ニンジンなどの野菜は与えたことはあれど、果物は初の試みではないか。
「よし、やってみよう…!」
俺は、みかん一房をさらに半分にし、与えることにした。
先ずはマツコに先頭を切っていただく。
「ほら、マツコ!みかんだぞ。」
ケージの隅で、毛繕いをしていたマツコに声をかける。
『やだ、何よ、それ?また怪しい物持ってきて…』
マツコは、鼻をくんくん動かし、警戒しながら接近して来た。そして、みかんの真下まで来ると、軽く立ち上がり、ペロッと一口かじった。
『い…いけるわ、この味…!』
マツコは、味見を終えると、覚醒したかの如く貪り始めた。ハムスターは、人間への警戒が無くなると、頬袋に詰め込まずに、直接、手から味わって食べるようになる。
俺らのマツコは、早くもその段階まで来たようだ。
『やだやだ、止まんないわ!ちょっとぉ、もう終わりなの?』
マツコは、みかんを一瞬で食べ終わってしまうと、俺の顔をキョトンと見やがる。その可愛さは卑怯だが、みかんのやり過ぎは、『体型がデラックス問題』に繋がりかねない。マツコよ、俺は心を鬼にするぞ。
「IKKOには私があげるわ!」
嫁が、俺からみかんを奪う。IKKOは、回し車でエクササイズをされていた。一応、体型を気にしているのだろうか?だが嫁は、そんなのお構い無しに…おかまだけども、お構い無しにみかんを口元へと運ぶ。
『な〜に〜?これは〜?』
IKKOは、不思議そうな顔をして、みかんに接近する。しかし…
「イタッ!」
IKKOの野郎は、みかんの匂いが染み付いた嫁の指の方を噛みやがった。そのまま指にぶら下がるIKKO。
「ぎゃーーーー、IKKO!!どんだけ〜!きゃーーーー!!」
『まぼろし〜』
指にぶら下がるIKKOに対して満更でもない反応をする嫁。痛いのに幸せそうだ。そして、餌じゃないと気づかずにあむあむを続けるIKKO。
お前ら、最高に萌えるぜ。
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