これから小説を書こうとしているすべての人へ

小説の語り手は誰かーー?

主人公(ぼく・私)の視点で書かれていればもちろん主人公。登場人物がすべて三人称で記述されていれば、通例は神が語り部ということになる。
この不文律は、先人たちが積み上げてきた歴史の上に(見えはしないが)確かに存在しているのだ。
だからこそこの不文律を逆手に取ったクリスティの『アクロイド殺し』は、フェアかアンフェアかで何十年も議論の的となっている。

さて、本作はそんな不文律をメタ的に取り扱った作品となっている。
しかし勘違いして欲しくないのは、決して堅苦しい作品ではない。むしろフレンドリーな作品であるということだ。
主人公の猫のポーンが明らかにこの作品の語り部なのだが、彼は躍起になってこの作品を(猫)神視点で語ろうとしている。難しそうなテーマはあるが、そのあたりのユーモアで非常に上手くバランスの取れている作品なのだ。
さらにはメタい作品であるに留まらず、果敢にもパロディにも挑んでいる。
第3話のタイトル「猫神の声を聴け」は、村上◯樹の『風の歌を聴け』から付けられている。
これから本作の「語り手」が、どのように読み手をくすりとさせてくれるか。猫のポーンは猫神へなれるのか。心から本作の続きが楽しみだ。