一人称と三人称(神視点)のコラボ!まるで「易しい小説の書き方」入門書?

 ポーンという親しみやすい猫のキャラクターを主人公とし、難しいテーマを斬新かつ易しく実は教えてくれている? そんな、初心者向け「小説の書き方」入門書のような内容です。

 初心者の方がまずぶつかるのが、視点の壁だと思います。〝三人称(神視点)〟と〝一人称〟。これらを意識していなかったり、理解できていなければ、無意味にないまぜられて読者を混乱させるものにもなりかねません。

 本作品は、なんと、それを「幽体離脱(第一話)」を使って分かりやすく書き分けるという、そのアイデアを思いつかれたこと、さらには、きちんとスムーズに描写されている力量に感嘆しました。

 そして第二・三話では、密かに神視点で執筆する時のコツについて書かれています。自由間接話法というものですが、これは神視点で書こうとする初心者が陥りがちな注意点を、またも猫のポーンくんが苦悩しながら教えてくれていました。自由間接話法を書く時にも、神視点の場合は、冷静に常に第三者的立場で見なければならないと。

【「自由間接話法ってなんじゃ?」と思われた方】

 もともと海外文学で主流で、私はこれを個人的には読み聞かせとか紙芝居をイメージし、「語り手がセリフを口にする感じ」として多用していますが、緊迫する戦闘シーンなどではグッとくる書き方なので、物語が魅力的に輝きだすとても素敵な話法です。辞書等でちょっと調べてみてから本作(猫自由間接話法~)を読まれるとさらに面白いですよ。  ※ 三話までのレビューになります。

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