優れた幻想小説は触感を伴う

まるでその世界に降り立ったかのように感じさせてくれるのは、情報の密度と鮮やかな筆致に依るものなのだろう。それは世界を詳細に描き僕らに見せてくれる。その地には風が吹き水が流れ炎が燃える。
そこで描かれるのは人であり翼であり文化であり、そして成長だ。人と人とが互いに触れ合い、ともに生きている。
大きく育った木の内側には年輪が幾重にも重なっている。物語も同じだ。優れた物語は歴史たり得る。
幻想の世界にじっくり浸りたいのなら是非。

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