ある男は、温泉に来ていた。
だがそこに、魔女狩りに追われる女を見つける。
その男は鞘のついたままの剣で女を助けたが、一撃が限界だった。――男は、腰が悪かった。
「今ならマッサージ付きさね」
「乗った!!」
男の名前はエリさん。
女の名前はタナさん。
長剣を杖代わりにする元剣士と、肩こりが酷くて引退した元魔女の旅が始まる。
「絶対的な正しさなんて、そもそもが絶対でもなんでもない。だから、自分は正しいという思い込みで走り出すと、必ず別の正義に足元を掬われる」
さまざまな正義がぶつかり、闇が生まれる世界。
魔女かもしれないということで殺される女たちと、人間族ではないということで迫害される少女。
正義を掲げて罪を犯した男と、逃げるために他者の命を悪魔に捧げた女。
そうするしかなかった。
それはわかっていても、苛まれ責めずにはいられない。
「罪人は、永遠に罪人だということかい? ――罪が永遠に赦されないなんて、悲しいだろ?」
それは他者に課す贖罪か。それとも、自らの救済か。
腰痛、肩凝りをお持ちの世代の方々には非常に刺さる一作です!!それなーって言いながらついつい笑ってしまいます!
そんなコミカルなやり取りから引き込まれて、あれよあれよと旅が始まります。
旅は道連れ、世は情け。をグイグイ実行していくテンポの良さでストレス知らず。
魔女のタナさんの軽快なお説教の数々にシビレつつ、常に剣を杖に出番ねぇと言ってる腰痛剣士にまた笑かされる笑
いつの間にやら、旅は家族になりつつ、魔女狩りの秘密に迫っていきます。
腰痛持ちと肩凝り魔女なんてコミカルさから、悪とは正義とは、罪とは。深いところまで連れていってくれる物語。
ぜひご覧ください!