それは贖罪か。それとも救済か。

ある男は、温泉に来ていた。
だがそこに、魔女狩りに追われる女を見つける。
その男は鞘のついたままの剣で女を助けたが、一撃が限界だった。――男は、腰が悪かった。

「今ならマッサージ付きさね」
「乗った!!」

男の名前はエリさん。
女の名前はタナさん。

長剣を杖代わりにする元剣士と、肩こりが酷くて引退した元魔女の旅が始まる。

「絶対的な正しさなんて、そもそもが絶対でもなんでもない。だから、自分は正しいという思い込みで走り出すと、必ず別の正義に足元を掬われる」

さまざまな正義がぶつかり、闇が生まれる世界。
魔女かもしれないということで殺される女たちと、人間族ではないということで迫害される少女。
正義を掲げて罪を犯した男と、逃げるために他者の命を悪魔に捧げた女。


そうするしかなかった。
それはわかっていても、苛まれ責めずにはいられない。

「罪人は、永遠に罪人だということかい? ――罪が永遠に赦されないなんて、悲しいだろ?」

それは他者に課す贖罪か。それとも、自らの救済か。

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