日常の延長にあるもの。

幼児期から不可思議な体験をしていた著者。

この作品は、ホラーというよりかは、そんな著者の経験をつづったエッセイに近いものです。淡々とした描写は、日常の延長でありながら異形であり、どことなく薄ら寒い不気味な感覚を抱かせます。

ちょうど、柳田國雄の『遠野物語』を読んでいる感覚に近いでしょうか。

私は著者のことも著者が住んでいる処も知りません。ましてや私には霊感もありません。けれども、子供の頃に住んでいた田舎で、ひょっとしたら私自身も何か経験したのではないかと思わせるようなリアリティと、そして懐かしい不気味さがここにはあります。

【追記】

ただし、『百物語』と題されたエピソードは、不気味を通り越して強い恐怖を感じました。

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