そのシュークリームに込められた想いは愛情のはずなのに、何故に必殺……?

 今まで料理など一度もしたことのないお嬢様と、その料理の行き先が気になって仕方のない、お嬢様大好きな執事との、手料理を挟んだ壮絶な恋愛小説である。ラブコメ……という名の。

 食べてほしいと願うお嬢様のためなら、たとえ火の中水の中、危険な罠の匂いを感じつつも、出された料理に手を伸ばします。慎重に様子を窺うも、お嬢様のかわいさに負け、ついに口にし嚥下する……。

『申し訳ありません、お嬢様。食物兵器かと思いました。私を暗殺なさるおつもりなのか』

 そんな、遺言めいた感想を抱きつつ、そして、心のうちで毒舌を吐きつつ。満面の笑顔でお嬢様を褒め称える主人公。
 次の試練が、その先に待っているというのに……。

『ああ神様、あんまりです。どうかお嬢様をいかず後家にして下さい!』

 こんなことを考えながらも、次の試練に立ち向かう執事魂は天晴れとしか形容できません。
 がんばれ、執事。その想いはいつかお嬢様に届くはず。その前に、召されるかもしれないけど……。

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