近すぎて気づけなかった心

“変化に気付く”というのは、簡単なようで難しい。

髪型を変えたとか携帯電話を新しくしたとか、そういう外見的なものであれば比較的気づきやすいかもしれない。しかしそれさえも、その人に対してそれなりに興味を持っていなければ見過ごしてしまうだろう。

わかりやすいところでもそうなのだから、内面的な問題となればいっそう見逃しやすくなる。ただの他人であれば、そもそも意識を向けやしない。

幼馴染。特に兄弟のように親しい仲であれば、お互いのことは充分わかっているように感じるかもしれない。「何か違う」と思っても、そのうちわかるだろうと後回しにしてしまうかもしれない。

しかし人の心、特に本心というのはそう簡単には気づけないもので、わかった時には手遅れになることもある。
近すぎて見えなかったり、あるいはわかったつもりになって見過ごしていたりする感情が、世の中には溢れているのだろう。

自分の周りの大切な人を見て「何か違う」と感じたら、口を開いてくれるのを待つのではなく、自分からその疑問に飛び込んでいくことが大切な時があると思う。
関係が近ければ近いほど、きっとそれには勇気や覚悟が必要になるが、たったひと言が、その人の中で止まっていた時間を動かすきっかけになるかもしれない。