読者もろとも、神様に逆らえないまま物語が始まります

神様というのは、人智を超えた存在で、人間がどうこうできるものではありません。
ですから、「生き残れなかった人たち」も、「何故か生き残ってしまった」兄弟も、どちらにせよ神様の課す運命に翻弄されてそうなったのだと思います。
そこが冒頭の文章によく出ていて、やわらかな語り口ながら、人間にはどうしようもないんだというゆるやかな絶望感が横たわっています。
このお話の主人公は、きっと魔女と神の子なのだと思いますが、わたしは、生き残りの弟を主人公に、青天の霹靂のように現れた旅人……という風に読んで楽しみました。
神話的で、色々な読み方ができると思います。

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