第2話 ショタとヅカ

 わが部は入部すると、副部長にあだ名をつけてもらう。

部長は部の代表だし、色々とやる事があるが副部長はそれほどでも無い、ならばこの部ならではの役割を作ろうと創立当初から始まった決まりごとらしい。

 そんな今の副部長のあだ名は「女学生」だ。いつも長い髪をおさげのみつあみにしているかららしい。けれど副部長になってからは「女学生」ではなく「副部長」と呼ばれるようになった。

 少しだけ「女学生」より「副部長」の方が言いやすいからだと思う。

 俺の場合ショタだったが、ヅカ先輩の場合それが「ヅカ」だったのだ。

 由来は、歌劇団の女優さんのようだからだ。

 これだけ聞くと、男役のイメージを持つかもしれないが、ヅカ先輩は娘役の方のイメージなのだ。

 まるで生きた一昔前の少女マンガのお姫様のように華やかで、まつげバチバチで目がキラキラと大きいのだ。目の中に星が煌いているように。

 髪は縦ロールでは無いが黒くて艶やかな長い髪が派手な少女マンガ顔にとても似合っている。

 そんな見た目も可愛いのだが、俺がヅカ先輩にヤラれた理由は「喋り方」と「優しさ」だ。どこの方言か分からないが、ゆったりと可愛らしい喋り方をするのだ。それがたまらない。

 入学式翌日の部活説明会で、壇上で話すヅカ先輩を見て俺は何をする部かなんて事はどうでも良くて「この人のいる部に入りたい」そう決めた。

 ちなみに俺のあだ名の「ショタ」は金田正太郎という名前からきている。

 俺が自己紹介した途端、副部長がピクンと反応して即

「君はショタね」

 と名づけられた。最速名づけ記録だったらしい。

 何故ショタなのか分からなかったので後からネットで調べてみると、昔のアニメの主人公が半ズボンの似合う少年の代表例として、少年を好む女性の間でその名を挙げられたらしい。

 そしてその少年の名が俺と同じ金田正太郎なのだ。正太郎コンプレックス、それでショタコン。ショタに『コン』がつくと、そういう趣向の女性を指すことになるが、コンを省けばそういう趣向の女性に好かれる少年『ショタ』になるらしい。

『ロリコン』は俺も分かるが、まぁそれの女性版みたいなものらしい。

 副部長が即反応したということは、副部長はそういう趣向の持ち主なのだろうか。

 残念ながら(?)俺の外見は可愛らしい少年どころか、天パ以外大した特徴も無い普通の高校生だ。

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