第7話 どこに行く?
ヅカ先輩たちが切符を買ってきた翌日は行き先を決める会議となった。
俺たちの住んでいるのは愛知県常滑市。そこから冬休み期間中に雪が降っているだろう県に日帰りで行くとしたら、どこの県のどの辺りが適当か、それを話し合っている。
「長野か岐阜、行ってもせいぜい富山や福井じゃない?」
その辺りなら日帰りで行けるのか。
「岐阜は近過ぎじゃないですか? しかも雪のイメージあんまり無いですよ」
「ショタの想像している岐阜は市内の平野部でしょ? 岐阜には高山があるわ、あそこならバリバリ雪が降ってるはずよ」
「高山とか郡上とか雪のイメージですよね。後、長野も雪のイメージありますよね」
日ペンは俺よりもそういう事、詳しそうだなぁ。
「長野も近そうなイメージありますよ。雪は降ってそうな気もしますが」
「なんだショタ、そんなに遠くに行きたいのか?」
「だってせっかく一日どこまでも乗り放題の乗車券使うんでしょう? だったら出来るだけ遠くに行きたいじゃないですか」
「長野って、地理的には隣県だし近いような気がするけれど雪が積もっていそうな中北部に行こうと思うと列車ではかなり時間かかるみたいなのよ」
「そうなんですか?」
さすが副部長は、そういう事も前もって調べているみたいだ。
「そうなのよ、愛知県と長野県って隣同士だから横からツイーと行けるような気がするでしょう? けれどダメなの。一旦、豊橋まで下がってそこから飯田線で上って行くか、名古屋から岐阜を通っていかないといけないみたいなのよ」
うーむ、俺は地理はあまり得意な方じゃないから具体的には頭の中に地図を思い浮かべれない。けれど豊橋ぐらいは何とか分かるぞ、ここより南だよな。
というか俺、気が付いちゃった……。
「あの、青春なんちゃら切符ってJRさんの乗り放題なんですよね? この辺り、JR通って無いじゃないですか! どこに行くにしても名古屋辺りまで出ないといけないんじゃないですか?」
ここ常滑は、空港が出来て昔よりは栄えたのかもしれないが名鉄しか通ってない。
「そうなのよ。昨日、切符を買いに行ったでしょう? この切符ってJRのみどりの窓口に行けば買えるらしんだけど、この辺りは無いじゃない。だから旅行代理店の店頭に行って買ってきたのよ」
そうだったのか。そんな事何も考えてなかった。やっぱり俺じゃダメだったな、さすが副部長。
「候補地の駅をこれで検索しながら考えてみませんか?」
日ペンがスマホを出した。覗き込んでみると電車の時刻表案内だった。
副部長といい、日ペンといい、この部は女子の方が頼りになるな。
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