第6話 魔法部の意義
そういえばこの部は、他の部よりもOBの先輩が部に訪れる率が高い気がする。
ラボ先輩はコーヒーを入れる時に、フラスコのようなものや試験管のようなものを使って入れてくれる。その道具は、ラボ先輩のお姉さんがやっている喫茶店で使っているものらしいのだが、そういう化学的な道具でコーヒーを入れてくれるそのお店がラボというらしい。そして先輩のあだ名もそこからついた。
ラボというより化学の方がしっくりいくんじゃないですか? と副部長に質問したところ、化学というあだ名はすでに別の先輩についていたのでラボになったらしい。
その話を聞いても俺としては『ラボ』というあだ名に納得しなかった。
ラボより名古屋弁の方が合いそうだ、まぁこの部のあだ名なんて、その時の副部長の趣味趣向で決められるようなものだから考えても仕方が無い。
「この部は『魔法』部だ。ほんだからと言って、魔法が主では無いこともう半年以上おってわかっとるやろ?」
「ええ、まぁ」
「この部は、この部に集ったツレらで楽しむこと、それが一番大切で魔法は、その手段であり楽しみの一つや」
何故、今ラボ先輩は俺にそういう事を語るのだろう。
「男同士で二人っきりになることってあんまないやろ。だで僕が先輩から引継ぎ教えてもらった事をこういう時にショタに伝えておこうと思ったんや」
俺の心の中を見透かしたように、ラボ先輩は語った。
「ツレらで楽しむ……仲間たちで楽しむって事ですよね、まさに今回の旅行はそれに当たるんじゃないっすかね?」
「ほうだな」
まぁ俺の最初の発想は、“ヅカ先輩に喜んでほしい”この気持ちだったけどね。
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