第3話 部活動

 三年生の先輩方が部を引退して、この部は五人になった。それを特にヅカ先輩は寂しがり、少し最近元気が無いように見える。

 俺はそんなヅカ先輩を元気にしたかった。

「文化祭も終わって、もうあまり部としての活動って無いですよね」

「うーん、まぁ細々としたものはあるけれど、大きな行事は一段落したね」

「何かやりましょうよ」

「どうした、ショタ」

「そんなに羊羹が食べたいのか?」

「何で、うちの部で何かやると言ったら羊羹なんですか」

 部室には、俺とヅカ先輩とラボ先輩と副部長、それに幼馴染の美子こと日ペンと五人全員がいる。

 俺はこの魔法部が特に好きというわけでは無いが、ヅカ先輩と一緒に過ごし何かをするという事を少しでも多くした。

 そしてヅカ先輩に笑ってほしい。



「私、雪見たことないさ。こっち来たら冬には見れるもんだと思ったら、昨年も降らなかったね。だから雪、見てみたいね」

「え? ヅカ先輩、雪見たこと無いんですか?」

「沖縄は雪降らないよ。私、中学まで沖縄だったさ」

「あれ? ショタは知らなかった?」

「はい……」

 そっか、ヅカ先輩のこの独特のゆったりした可愛らしい喋り方は沖縄の方言だったのか。

「まぁヅカの方言ってイントネーションぐらいだよね、沖縄弁になってるの。言葉は案外普通だもんね」

「私は、そんなに訛りがあると思って無かったさ。向こうでも私は標準語だねと言われてたよ」

「いやいや、標準語では無いっしょ」

 副部長がツッコミを入れたが皆がうんうんと、うなずいていた。

 そっか、ヅカ先輩の方言はイントネーションだけの中途半端なものなのか。けれど可愛いからいい。


「じゃあ、魔法で雪を降らせましょうよ」

 俺は良い提案をしたと思ったのに二年生の先輩たちは皆、渋い顔をしている。

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