第4話 雪が見たい
「チラチラと積もらない程度に雪を降らすのだったらええけど、積もらす雪を降らすのはかんな」
「何故ですか? ラボ先輩」
ラボ先輩は他の人たちより少し方言が入っている。『降らすのはかんな』とは降らすのは出来ないな、ダメだなという意味だ。
なんだ、結局大した事出来ないんじゃないか。羊羹魔法め。
「でも雪っていいよね」
「……降らすこと出来ないんでしょう?」
俺はせっかくの提案を反故にされた事にふて腐れつつ言った。
どうせ何かやるならヅカ先輩が喜ぶことをしたいのに。
「ほらほら拗ねない」
日ペンに頭をなでなでされながら、からかわれる。日ペンは同じ歳だけどいつも俺を子ども扱いする。
「降らすのは、かんけど降っとるとこに行くのは?」
「それいい!」
ラボ先輩の提案に、副部長が即乗った。
雪が降ってるところか、いいなぁ。やっぱり雪と言ったら北海道? ヅカ先輩と北海道旅行なんて、かなりいいかもしれない。
俺は脳内で、ヅカ先輩と札幌の時計台の前で雪をかけっこしている映像や函館の夜景を見ている映像を流して、ウットリとしていた。
「うん、いいですね! 行きましょうよ北海道」
「北海道? 北海道はちょっと遠いな、部費もそんなに無いし」
えーっ、俺の提案またボツですか。
「日帰りで行けるところがいいよね。しかも電車で」
「電車ですか?」
「うん、この時期にはJRさんから青春なんちゃら切符というお得な乗車券が出るのよ。それを使えば日帰りならこの部のメンバー全員で一万二千円ほどで行けるわ」
「あ、なんか聞いた事ある。普通列車一日乗り放題とかいうやつですよね」
「そうそう、快速や特別快速なんかも乗れるのよ」
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