第5話第三回世界メシマズ女王選手戦、明日開催(バハムート歴2018年9月16日)
いよいよこの時期がやってまいりました。
世界一メシがマズい女性を決めるこの大会。
優勝候補は開催のステアリアーナ王国第3王女のステファニー様。これまで過去2大会どちらも最優秀賞を受賞しております。
相対するのは、香りだけでモンスターを退けたと呼ばれる、第一回優臭賞、北方で冒険者としても活躍するエリーニ嬢。
今までつぶした料理教室は100以上、彼女に料理を教えられる人類は存在しないと言われる自称料理研究家ダミア嬢。
更に厳しい予選を越えた精鋭10名によって執り行われます。
審査員は鉄の胃袋を持つと言われる、料理ギルド特殊料理部部長ダファメル。
どんな味も彼の前では無意味、スラムに趣味で住む男、漁り屋ロマード。
他に審査員が集まらなかったため、急遽配備された魔法大学魔物研究所の毒耐性の高い魔物3頭。
もちろん審査委員長は、唯一の全大会参加審査委員でもある、ステファニー王女の父親、ステアリアーナ王国第23代国王ゲファーデン陛下です。
毎年観客が増え続けるこの大会は、今やステアリアーナ王国最大のイベントと言っても過言ではありません。優勝賞品が国宝というのも注目ポイントです。
裏解析
ステファニー王女は毎回、おいしい料理を作る、料理王選手権と思って自慢の手料理をふるまっています。ちなみに彼女の父親以外は全員一度食べて以来二度と口を付けていません。彼らは平均ひと月ほど生死の境をさまよいましたが、死んでません。
父親であるゲファーデン国王だけは毎食おいしく食べていますが、お腹が常に緩い為、ステファニーが料理を作り始めてから国外へ出たことがない。
しかし、他の王族や臣下たちの全力のサポートで、過去最高に国は豊かになっている。
取材した大臣によると、あの方が居なければ国が亡ぶ。王族の皆様始め、家臣一同先陣を切って死地に挑む国王様に少しでも報いれるように働くだけです。と、国王を崇拝するような目つきで語っていた。
この大会は、年齢的にゲファーデン王が死んだあと、ステファニー様の手料理を食べる人がいなくなってしまうため、王妃の命の元、婿探しの為に行われたそうです。世界を探せば、ステファニー様の料理をおいしいと言ってくれる殿方が国王以外にいると、一縷の望みに掛けたそうですが、第三回大会が行われたことで察してあげてください。
また、今回魔法大学に依頼を出すときに、たかだか人間が作る料理で邪魔をするなと最初は邪険な態度だったそうですが、試しに毒の沼に住んでいたヒュドラにステファニー様の手作り料理を食べさせたら、食中毒で3週間寝込んだそうです。それ以来ステファニーと言うと従順になったとも報告が上がっています。
その話をどこからか聞いた冒険者ギルドと薬物ギルドから、ステファニー様の料理を提供してくれないかと、正式に打診がなされました。
これに対して、国王以外はおおむね賛成の意を示しているようで、後は国王の説得だけで、低コストで超強力な毒耐性を持つ魔物に効果がある物質が開発される日も遠くないかもしれません。
因みに、ヒュドラが食べたのは、ステファニー様曰く、焼き魚だそうです。なぜ、塩振って焼くだけの料理でヒュドラが寝込んだか、魔法大学薬物研究所は目下調査中とことでした。
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