伝統芸能<雷神>(バハムート歴2018年9月25日)
太鼓で雷を落とす伝統芸能『雷神』の後継者が激減している。
およそ100年前は東の隠れ里にて、雷雲を操る一族として隆盛を誇り、その筆頭は代々『雷神』と称された。
雷は、元々勇者のみに与えられる最強の魔法の一つであり、風より速く、火と同等の熱量と大地を砕く威力を誇る雷撃は強さの象徴であった。
そして、勇者以外で唯一雷撃を操ることができる『雷神』を筆頭とした一族は、東では信仰が生まれる程の伝説的存在であった。
しかし、80年前『魔導勇者』と呼ばれる、大賢者ノロウェイの研究により雷撃魔法が編み出され、一流の魔法使いであれば雷撃が使えるようになった。
その為、『雷神』の一族は衰退してしまい、隠れ里離れが進んでいるそうだ。
裏解析
『雷神』と称されているが、その雷撃は勇者の雷撃魔法と似て非なるものである。『雷神』の一族が使う雷は、太鼓や衣装などを利用した放電現象である。
その威力は、少し痺れる程度で、最弱の魔物として名高いゴブリンもギリギリ倒せないくらい弱い。
しかし、雷撃魔法は勇者の中でも一部にしか習得できない魔法の為、半ば伝説化しており、それを逆手にとってただの大道芸を、神格化したのが『雷神』の一族である。
魔法大学の古典研究科の教授によると、『雷神』の一族の文献には歴史的虚偽が多数含まれており、実際に操れる雷雲もウソであったのではないかと考察されている。
一方で、放電現象に関しては一朝一夕で身に付けられる技術ではないため、伝統芸能として、東の一部の貴族の間では余興として親しまれている。
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