第7話ワイバーン定期便運休(バハムート歴2018年9月18日)

ワイバーン定期便を運営する、アスター商会は本日ワイバーン定期便の臨時運休を発表した。


期間は追って告知するとのことで、再開の見込みは不透明である。




同社は世界に先駆け、人に馴れたワイバーンを用いた輸送網を持っており、ドラゴン便、グリフォン便、ペガサス便に次ぐ第4の空輸手段として、業績をあげていた。


ワイバーンは他の飛行生物に比べ、繁殖が容易なところが魅力であり、瞬く間に空輸産業でシェアを伸ばしていた。




今回の延期による損害は、本日一日だけでも数億ゴールドと見なされており、失った信用を考えるとその損失は計り知れない。






裏解析






世界的なワイバーンのストライキが今回の原因と考えられている。


魔法大学飛行生物研究専攻のある教授に伺うと、元々は空を飛べるだけで、知能はトカゲと馬鹿にされていた彼らだが、アスター商会はワイバーン用勉強プログラムの開発により、ワイバーン達にお金を稼ぐ素晴らしさを理解させ、現在の飛行網ができたらしい。


しかし、賢くなりすぎた結果、アスター商会にガッツリ稼ぎを中抜きされていることに気付いた彼らが、アスター商会に対してストライキを起こしているらしい。




交渉は強気なワイバーン達に、完全に後手に回ったアスター商会。ワイバーンの好物である羊を使って誤魔化そうとしているが、既に割り算までできるワイバーン達にどこまで通用するものかと、専門家としては興味深く見守っていきたいとの事だ。




最後に、教授に一番好きな飛行生物を聞くと、嬉しそうな顔で大型のドラゴンと答えた。


人々に人気のあの雄大な姿は、他の生物にはない魅力がある。特に飛び立つ瞬間など、まさに圧巻の一言で、ありがとうと思わず言ってしまうらしい。




観客、特に若くて綺麗でスカートが短い女性が集まってくるとテンションが最高潮になり、あまりドラゴンを見ていないとの噂もあるが、やはり魔法大学、きっと大きな意味があるはずだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る