もっと早くこの物語を読めばよかった。

ある少年が、最初の最愛を奪っていったモノを憎み、
世界を憎み、神を憎み、そして人を愛した物語。

多くを言えばネタバレになるところも出てきてしまうので、
とにかく読んで欲しい。

あえていうなら、心根はどうしようもないほど優しくまじめで不器用な
人間だったのに、降りかかった理不尽がそれを塗りつぶし、その理不尽を
塗りつぶしていくために、多くを喪失する物語。

ちょっとグロテスクなところが匂い立つところもあったり、
本当になんでその選択しかできなかったの?と、感情移入していると
主人公に対して憎しみに似た何かを抱く場面もある。
それでも、読む手が止まらなかった。

ラノベ文庫サイズだと30巻を超える量の文字数。
多分、それですら膨大な筋書きの中から削ぎ落したのだろうと思えるほど
濃密な文章。

戦記物として、また、バトルモノとしても一級品であり、
読み手を選ぶところもあるだろうが、一先ず読んでみてほしいと言える大作。

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