愛人になり切れない「愛人体質」の女

同著者による『告白』の続編です(独立した物語ではないので前作をまずお読みください。99%の確率で次へ進みたくなります。)

タグ通り、不倫の話。妻子ある相手と分かっていながら打算的な関係を続け、線引きをしながらも結局は相手に愛という感情を持ってしまう主人公。そして、行き着いた先は…。

主人公による一人称の語りが非常に丁寧で、その時その時の心の動きを書き留めておいたかのような臨場感を持って話してくれます。あたかもテーブルの向かい側に座った友人の告白を聞いているような感覚を起こさせるように。

愛人体質とは、他者から見たその女の姿であり、当の本人は愛人になり切れない、捨て切れない自分がある。悪い女を演じたいのに演じられない矛盾と葛藤。それがこの作品の面白さのひとつです。元夫やライバルの出現など、主人公を揺るがす存在として登場する人物たちも効果的で飽きさせません。また女性の視点による官能的な性描写もありますが、決して下品にならないところが絶妙の匙加減です。

各エピソードが読みやすいサイズでまとめられているので長編といえど長さを感じさせません。それどころかつい次へと進みたくなる不思議な中毒性があります。

下手なメロドラマを見るより、断然こっちをお勧めします。
きっと続きが読みたくなりますよ。

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