自ら得た力で生きる。その有り様が、人を惹きつける。

その世界に降り立った時、主人公が持っていたのは、力とは言い難い僅かな才能のみだった。それは冒険者になることを考え直すように言われるほどで・・・。しかし他に生きる術を持たない彼は、ただひた向きにできることを突き詰める。

彼は徹頭徹尾、弱者だ。その戦闘力は村人並み、女性冒険者のそれを大きく下回る。権力はなく、財産もない。しかし彼は諦めず、投げ出さず、己の全てを賭して為すべきを為す。その甘えのない生き方と、その上で貫く正しさが、心あるものを惹きつける。

問われるのは、意志と覚悟。労せず得た借り物の力ではなく、自ら得た力を振るう故に、彼は決して驕らない。そんな彼の元に集うのが、女性や子供であることはもはや必然であろう。

薄っぺらい悪と独り善がりな正義の対決、傲る強者と擦り寄る女達、そんな流行りの展開に飽き飽きしたなら、この作品はきっと一服の清涼剤となるに違いない。本能より知性を、甘えより自立を望む読者には、恐らく極めて好ましい作品であろうと思う。

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平凡の異世界召喚

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