靴を履いて旅に出て、鞄に荷物を詰め込んで

作者 実里晶

68

29人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

とてもやわらかくて読みやすい文章で描かれた冒険ものです。
苔むした洞窟や真っ白な雪山など、情景描写が綺麗で惚れ惚れしました。

冒険と対になる日常の様子も魅力的で、特に個人的には宿で二度寝をする回がゆるくてお気に入りです。
マイペースな冒険者のメルメル師匠と、しっかり者の弟子ルビノの師弟関係も素敵でした。

ゆったりと進む連作短篇集ですが、それぞれのキャラの想いが重なるラストはすごく盛り上がります。
これからの展開もあるとのことで、完結作品ですが今後も楽しみです。

★★★ Excellent!!!

この物語を本にするなら、きっと革の装丁がよく似合う。子供の頃、図書室の薄暗がりで、机まで運ぶことも忘れて読み耽った、美しくて、楽しくて、恐ろしい世界。あの無垢な幻想の世界が、ここにある。

暗い暗い洞窟の奥の不思議、遠い昔の英雄達のおとぎ話、白くて優しい竜のこと、圧倒的な絶壁に挑んだ孤独な冒険者。描かれる世界の美しさもさることながら、その表現もまた巧みだ。

例えば子を想う母を描くなら、百の言葉で心を綴るより、帰りを待つその背を描く方がいい。鮮やかに描かれる情景に対して、あえて多くを語らない文体が、その場面を深く心に焼き付ける。

子供の頃、夢中に本を読んだあなたなら、きっとこの作品を好きになるだろう。あるいは、手垢と煩悩にまみれた一山いくらの売り物に疲れたなら、きっとこの作品が癒してくれるだろう。

寝る前に、子供に読んで聞かせたい。そんな、大人のための物語。

★★★ Excellent!!!

永遠の冒険者メルと、冒険者の街オリヴィニス、そこに集まる人々の物語。
駆け出しからベテランまで、日帰りの探索から命がけの挑戦まで、色とりどりの冒険が語られます。成功あり、失敗あり。輝かしい冒険の日々の最後には悲しく辛い戦いがあり、温かい希望を示して終わる。そんなお話でした。
寝物語に聞かされるような冒険物語に浸りたいときに、ぜひ。