絶景から絶品まで。異世界を隅々まで楽しむ連作短篇集。

とてもやわらかくて読みやすい文章で描かれた冒険ものです。
苔むした洞窟や真っ白な雪山など、情景描写が綺麗で惚れ惚れしました。

冒険と対になる日常の様子も魅力的で、特に個人的には宿で二度寝をする回がゆるくてお気に入りです。
マイペースな冒険者のメルメル師匠と、しっかり者の弟子ルビノの師弟関係も素敵でした。

ゆったりと進む連作短篇集ですが、それぞれのキャラの想いが重なるラストはすごく盛り上がります。
これからの展開もあるとのことで、完結作品ですが今後も楽しみです。



〈追記 2023年2月3日〉
遅まきながら、《死者の檻の冒険者》編を完結まで読みました。
シャグランとフェイリュアの、恋じゃないと言い張っている恋話は切なくて、悲惨な結末込みで出会いや別れ、そして結婚式も素敵だなあと思いました。(救済はありますが)
フギンとマテルはもう、絶対に幸せになる確信しかない二人なので、安心して最後まで見守ってました。
ガチガチにレールの敷かれた人生に息苦しさを感じていたマテルと、何も持っていなさすぎて不安だったフギンの二人だからこそ、良い塩梅に落ち着けるんだよねと納得のエンディングです。
悪者はいろいろやらかしましたが、すごくハッピーエンドな結末なので魂が浄化されました。
素敵な物語を、ありがとうございました!

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