現世では結構辛い人生を送っていた少年がある日突然代償大きめの強大な力を手に入れてしまって、その力で異世界の国を治めている少女に仕えることになる転移モノです。
王姫と呼ばれる少女には立場上は政敵(ライバル)になる姉がいて、主人公はその姉の姫を守護する騎士である一見無表情だけど実は思いやりのあるクール系美形男子とバディを組んで、ある殺人事件から始まる連続テロ的な事件の解決のために奔走します。
それぞれに大切な女の子がいる男子二人が信頼を深め、やがて背中を預け力を合わせて敵と戦うようになる過程は、男子キャラしかいないタイプのブロマンスにはない味わいがあってときめきます。
そういう構図ならではの、純度が高いバディ関係がすごく良いです。
女の子サイド二人も、支配者らしい自信に満ちた態度の妹と聖女系美少女の姉という感じで対照的にキャラが立っています。
ちなみに主人公は全方位に思いやりを発揮しようとしちゃうタイプなので、気苦労はかなり多めです。
ジャンルは異世界ファンタジーですが、展開は徐々にサスペンスやミステリーに近いものになっていって、犯人を明らかにしてどうにかして、でもまださらに裏があって…みたいなどんでん返しのある結末が待ってます。
いろいろと業を感じさせるエピソードがありながらも収まるべきところに物語は収まり、苦さが残りつつも基本はハッピーエンディングなラストが好きな私は大変楽しく読み終えさせていただきました。
謎解き的なことが絡んでいる関係で、順番に読んでいるとよくわからないことがあるのですが、読者がわからないときは大抵は主人公もわからないと言ってますし、最後まで読めばだいたいはわかるので安心です。
40万字超えと文字数は多めで魅力的な登場人物もたくさんいますが、二人の姫君と二人の騎士のお話だと考えると意外とシンプルにまとまっていて、一つの作品としてほどよい満足感があります。(厳密に言うと主人公は魔術師かもですが)
体感的には、ワンクールで完結するアニメを見た感じです。
何にしても、強くても弱いところのある男子二人がお互いを想い合う姿を見るのは、心の栄養になりますね。妙に過酷な設定もあるからより、満足度は高めです。
続編もあるみたいなので、また読んでみようと思います。
オルドルさんいいよオルドルさん!
ごめんね、ツバキくん(主人公)。私はオルドルさん派なんだ……!
というわけで、まずは30話まで読んでみることをお勧めする。
登場シーンがね、良いんですよ。焦らすかと思ったら焦らさずに30話で出てきてくれちゃうとこからしていい。パーキングエリア級なところもいい。暗さと煌びやかさの絶妙なバランス、その描写が、万華鏡のように妖美。
使う魔法も綺麗。美しい。なのに、なかなか(どころじゃなく)悪辣なところが実に素敵なダークヒーロー! 痺れる!——(人)肉食系なとこまでが、もはや魅力。アルカイックスマイル最高か!
とか言うと、近寄りがたい感じもするけれど、実際には、彼はとってもフレンドリーです(致死)。主人公を何回か殺したけれども、なんかだんだん楽しいところもある人(鹿)だなぁと思い出したら貴方はもう仲間です。
と、ここまでオルドルさんについてしか語ってないけれども、(人)肉食偶蹄類以外の魅力も、この作品には綺羅星のごとく鏤められている。
美男美女(美少年美少女)いっぱいいるよ! コメディ回もシリアス回もあって飽きないよ! お色気シーンもあるよ! 猫耳美少女もいるよ! ウファーリちゃん楽しい子だよ! カガチさんバリトンボイスだよ! 主人公と相棒は仲良くいがみ合いしかしてない気がするよ!(最後にようやく(血の)雨降って地固まる的な感じになった……のでしょうかね、あれは。だったらいいですねー<棒)
世界観が広大で、読み終わってもまだけっこう謎が残っているので、若干モヤっとするところを残しつつこのレビューを書いているわけですが……
これ、続きますよね続くんですよね? オルドルさんが番外編で「ツバキの冒険はこれからだ!」的なこと言ってますもんね(違)。
分かりましたよ待ってます!
(補足)番外編のオルドルさんくそかわ。(本当は、「もうちょっと語ってくれよぉ!」的な感じで、星2つにしようかも思ってたんです。続編待機ですからね。でもちょっとこのオルドルさんは反則だわー、星まるっと一個増やしたいくらいだわーと思ってたら星が3つになってたんです、ええ)
「あっ、その人そういう人だったの」が割とあるので、
とりあえず A3 の紙を用意して相関図を描きながら読むと良い。
「つまり、もしかしてこうか?」があれば加筆していくと多分おもしろい。
所々挿入される人物紹介も多分助けになる。
その他の観点 (読みやすさ、傾向等) は3/17記述分とあまり変わらず。
# 以下2016年3月17日記述分
## めんたい
別所で読み始めてから追っているが、最後までちゃんと読みたい一作。
いわゆる異世界転生モノに分類されるか。
メタが好きな人はとりあえずチェック。
おそらくはそういう着地点を狙って書かれているのだと考えられる。
話は同じところを掘り続けるので、連続して読む分には追いやすかった。
数話手前の情報は私のような鳥頭ではキャッシュされない程度の情報量。
ただし、所々で必要な情報を再挿入したり、紹介の回を設けてくれているので、鳥頭でも追える。
贅沢を言えば総集編が欲しい。