めぐる命に願いを託す。荒廃した大地にあって、希望の種よ花ひらけ。

荒廃に瀕した世界に生きる人々を描く、非常に良質なSF群像劇です。
滅びを臨む大地にあって世界の在り方に翻弄される少年少女、過酷で理不尽な運命に抗う大人たち、それらを結びつけてゆくのは「希望の種」。

植物についての知識を織り交ぜつつ丁寧に構築された世界観は、「病」「砂漠」「電波塔」「火山」などがめぐりゆき、重なり合い、彩られています。
そうやって鮮やかに描きだされた物語世界をゆきめぐるのは、どこまでも等身大な人間たち。生々しくあたたかみのある人間模様は、読んでいるこちら側の胸をも締めつけて先へ先へと心を誘います。

すれ違い、ままならず、それでも進みゆく大人たちの願いはやがて、子供たちの——……と、詳細はぜひ本編にて見届けてください。

その他のおすすめレビュー

羽鳥(眞城白歌)さんの他のおすすめレビュー964