貪夫徇財:たんぷじゅんざい
「本当に大丈夫なの?」
「ダイジョブダイジョブ。だってアタシがこーしてピンピンしてんじゃん。ま、行ったら分かるって」
午後8時。
「でも……相手は男の人なんでしょう? つまり、その……」
「しつこいなー。まず相手の正体は
「だから……その無理矢理なんかされたりとか」
「ナニ想像してるか知んないけど、いきなりチンチン握らされたりはしないってば。それに向こうはあんたに何もできない。行きゃあ分かるって」
そんな
それはピカピカに磨かれていて、私は外国の大使送迎にでも使われそうなその車のドアに、不安そうな私と小さく手を振る上機嫌なナツホが写るのを見た。
「ヤッホー、おじさーん」
ナツホはサークルの後輩にするようなノリの挨拶をする。
運転席からダークスーツに白い手袋の初老の紳士が降りて来て、ナツホと私を
私は釣られてお
「この
「そ、アタシの親友。高橋サユミ。事情があって急に引っ越したもんでお金が必要でさあ。アタシの後釜にピッタリだと思って。サユミ、こちらアタシの親戚の叔父さん。
「…………」
「…………」
私とナツホの叔父さんはきっかり三秒の間、互いを値踏みするように見つめ合った。
「だから信用できるってば! アタシの叔父さん、アタシの親友よ?」
ナツホの言葉を受けて、その場の妙な空気に、彼の方が穏やかな笑みで
「吉永です。どうぞ宜しく」
「高橋です……こちらこそ宜しく」
彼の自己紹介に私もぎこちない笑顔で自己紹介を返した。
「ではこれを」
彼がポケットから取り出したのは二つの「目隠し」だった。
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