つないだ手、のぼる朝日

木船田ヒロマル

腹水不返:ふくすいふへん

 ばしゃっと音を立てて、私のコップから放たれた冷たい水はマコトの顔面にクリーンヒットし、彼は何が起きたか分からないと言った表情で私を見た。髪の毛や耳たぶやあごからぽたぽたとしずくしたたらせながら。


「私たちはこれでおしまい。金輪際こんりんざい、私に関わらないで」


 私は荒くなる呼吸を理性で押さえ込みながら、なるべくゆっくり、はっきり、きっぱりとそう言った。

 席を蹴って千円札をテーブルに叩き付け、何か言おうと口をパクパクさせるマコトに背を向けて、ファミリーレストランを一人で出た。


 泣いてない。泣いてなんかないって、繰り返し自分に言い聞かせながら。




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