断金之交:だんきんのまじわり

「引っ越したァ? そこまでするフツー!」


 水上みなかみナツホは私の話を聞くと、素っ頓狂な声を上げて驚いて見せた。


「だって……訪ねて来たりしたらヤじゃん……」

「そらそうだけどさァ。サユミって昔っから、なんかそーゆー変なとこ極端だよねー。徹底してるっつーか行動力あるっつーか」


 人付き合いが上手でない私の、ほとん唯一ゆいいつと言って良い友人である彼女は、セットのコーラを水のようにゴクゴク飲みながらそう感想を述べる。


「で? 相談ってなに?」

「うん。これはとても言いにくいことなんだけど……」

「お金? お金の相談? アタシに⁉︎ ムリムリムリムリムリムリムリ! 軽いノリで引っ越しなんかしたアンタが悪いんでしょー! アタシだってお金ないよー! 丁度チョー割のいいバイトがダメになっちゃって……」


 そこまで言って彼女は言葉を切った。


 あ、の形にいた口。そして次の瞬間、「にへらあ」といった擬音ぎおんが似合いそうな小悪魔の笑み。


「いーこと思い付いちゃった♬」


 キラキラした瞳で私を見るナツホの言葉とは裏腹に、私の全身は嫌な予感で一杯だった。

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