勝訴ストリップ/椎名林檎
十年ぶりくらいに手に入れて聴いてる。勝訴ストリップ。聴くと泣いちゃう。切羽詰まってる感じがして苦しくなる。勝訴の後に「アダムとイブの林檎」を聴くともう涙が出てしまう。感極まって。今ここまで来たよ。って当時の林檎さんに言ってあげたくなる。
勝訴ストリップの音楽はめちゃくちゃいい。でもシングルカットされた曲がどれも「?」となる出来で、いやいいのは良いんだよもちろん、でもなんか「あれ?」特に本能なんか「ん?」って首をかしげてしまう。元から散文的な詩ではあったけれども、一層ばらばらで、まとまりがなく、一行一行の要素は素晴らしいのに、無罪モラトリアムの時に、すべての行を一連にまとめあげていたあの一貫した力みたいなものが失われていて、発音も細切れで、ブレスも不安定で、曲の構成も「これだ!」っていう確信みたいなものがない。今聞いてみると「罪と罰」「ギプス」なんかめちゃくちゃ名曲なんだけど、でもなんていうか、私は本能が嫌いだ。いい意味でも悪い意味でも、「わかりやすい」演歌みたいな歌詞。
アルバムに収録されている曲はどれも美しくて磨かれていないダイヤモンドの原石みたいだ。投げ遣りさと倦怠と怒りと逡巡。だから一層聞いてきて苦しくなる。アマゾンレビューを書くとしたらタイトルはこう。
メンヘラ度:☆☆☆☆☆
すっげー情緒不安定。聴いてると悲しくなります。そんな中でも捨て曲とか妥協した曲が見られないのが本当に涙を誘う。きちんと音楽。音を楽しむ。無限の組み合わせとカオスを楽しむ。でもカオスのまま、ばらばらのまま。
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