大学講師は世知辛い。問題児クラスは未知の魔法を秘めた天才集団でした。

 世界で唯一の蘇生魔法の使い手としてエリート魔法師団に在籍しながら、とある任務で魔法を失い、魔法大学の講師に転職した少女リディア。

 問題児が集められた特別授業を受け持つことになった彼女が、生意気な年上男子たちの指導に苦慮しながら魔法の真理へと迫っていくストーリーが興味深いです。

 転職して痛感した大学教育の現場は世間の常識とかけ離れた理不尽とパワハラが横行する世界で、面倒な雑事はすべてリディア任せ、自分の研究や講演会を優先して、まったく生徒たちと向き合おうとしない教授たちに腹が立ちます。

 そんな教授陣に失望していた生徒たちも、熱心に指導するリディアには次第に心を許していきます。

 どんなに辛くとも投げ出さず、いつも自分を犠牲にして面倒事を引き受け、生徒の可能性を信じて見捨てない。まさに理想の教師ではないでしょうか。こんな先生に学びたかった。

 けれどリディアに構ってほしくて無理に口説いたり、強引に迫ったりしては彼女を困らせる男子生徒たちが、つくづくバカだなぁと笑ってしまいます。

 一見、よくある逆ハーレムですが、現実にもある大学教育の問題に切り込みつつ、世界観も作り込まれた本格派な異世界ファンタジーです。

(「学校へ行こう」4選/文=愛咲優詩)

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