第41話~最終話


<41話予告>

 幻覚地平に描かれる、ここがあらゆる過ちの故郷。

 失われて戻らぬ世界に、不死を借り受けたヒトが降り立つ。

 邂逅するは敵。だが、敵とは何だ。邯鄲の夢の中で。

 ただ一度、酌み交わす空電。


 次回、第41話『泡沫うたかた


 かつて現実リアルであったものすべて、気付けば霧の彼方の幻。




<42話予告>

 彷徨っていた。

 時空の弥終いやはて、光あらざる混沌の水面。

 かつて、ひとつの星が消えた。命と、智識と、野望と共に。

 ならば、あの影は亡霊なのか。

 瞬きの間に永劫を越えて、忘らるる船がいま帰還する。


 次回、第42話『獣たち』


 その名はノア。神に選ばれし者の方舟。




<43話予告>

 失われた星に至る道が、次元暗礁を細くつらぬく。

 名を“ダイアウト”と人は呼ぶ。冥府へと続く死者の航路。

 いまや、生者たちが此処を目指す。

 銀河のすべての欲望、野心、恐怖、信仰が押し寄せてくる。


 次回、第43話『グロンドル境界』


 いかなる嘘も、忘れ去られぬ限り、いつかは必ず暴かれる。




<44話予告>

 それは、愚かな夢想に過ぎなかったもの。

 崇高なる狂気に駆られ、男は神の設計図面を引いた。

 知は人間の力である。叡智の結実が科学である。

 幾星霜を経て、彼の計画は最終段階を迎える。


 次回、第44話『黒い太陽』


 ディラックの海が凪ぐとき、絶望が機動する。




<45話予告>

 新たな神が創りしエデンの、相転移面が宇宙を喰らう。

 あの壁の向こうは新世界。痛みなき永遠のユートピア。

 だが、そんなものを誰が望むか。

 奪わせない。この罪も、傷みも。救いなど、許し難い倨傲。


 次回、第45話『失敗作』


 全人類の、無限の幸福。エゴの前では塵に等しい。




<46話予告>

 人形劇ギニョルの幕引きにはまだ早い。

 仮面を剥がれた神の子が、一個の人間として父に叛く。

 躯は鉄塊。血は潤滑油。心は、素子に刻まれたパターン。

 宇宙の理法が停止した、その臨界に奇跡が再生する。


 次回、第46話『サイエンス・フィクション』


 不肖の息子が父に手向ける、千年の夢のカーテンコール。




<47話予告>

 論争で勝利するより遥かに、論敵を殺す方が容易い。

 自明の真理を知悉する、最高議長、ティツィアーノ・ヴェロッキオ。

 賽は投げられた。目の前には、越えるべきルビコンと、冥き霊廟。

 イデオロギーの廃墟を舞台に、もうひとつの叛逆が始まる。


 次回、第47話『暗闘議会』


 立ちはだかる、大義の大伽藍。蓋を開ければ、がらんどう。




<48話予告>

 正義の実在を信じていた。世界を二色で塗り分けていた。

 “悪”は治療すべき病痾であり、善導こそが使命と仰いだ。

 いま、世界は多彩なる混沌。白黒つかぬ万色の迷路。

 道を見失う少女の前に、差しのべられた手は血染めの黒。


 次回、第48話『階梯』


 誰よりも清い理想が強いる、誰より手を汚すという覚悟。




<49話予告>

 銀河を回す大企業たちを、旧き神々になぞらえるなら。

 ドレクスラーこそ天の中心、主神の玉座に在るべき大器。

 時は移ろい、神話が終わる。神々に黄昏が忍び寄る。

 世界を灼く落日の光は、分子鎖きらめく殺戮の虹。


 次回、第49話『アゾット』


 栄華と頽廃の万魔殿に、極彩色の悪が咲き誇る。




<50話予告>

 光輝と灼熱を透かし見れば、蘇るは赤い砂の記憶。

 この身は血にまみれて久しく、されど一片の後悔もない。

 あの日差し出され、握り返した手は、堅きゴルディオスの結び目。

 夢ひとつ、叶えられるのなら。


 次回、第50話『エルゴ領域』


 そこは光さえ追い縋れぬ、超重力の回転木馬。

 男と男の決闘に、ただ死神だけが立ち会う。




<51話予告>

 これだけは譲らぬと決めていた。たとえ、茨の道だとしても。

 守ろうなどと、もはや言うまい。

 弱かった。驕っていた。認めよう、すべては青すぎた勘違い。

 だが、今ならば――

 愛すべき道化の、本当の願いに気づいた今ならば。


 次回、第51話『約束』


 荊棘の路を往く者だけが、その涯に咲く薔薇の花を見る。




<52話予告>

 正気を捨てた。倫理を捨てた。故郷を、家族を、人間らしさを。

 憎悪と怨念だけを残して、己の意志で歩んだ修羅道。

 爪先には最後の一線。進めば、もう苦しむことはない。

 すべてを捨てたはずの男が、捨て去れなかった光の名を呼ぶ。


 次回、第52話『終戦』


 無数のイカロスたちの骸が、星雨となって空に墜ちてゆく。




<最終話予告>

 人は見た。駆け抜ける光を。なおも戦う二人の男を。

 イデオロギーも、使命も、恩讐も、いまや理由ではあり得ない。

 新たな時代の夜が明ける。だが日の出よ、あと少しだけ待て。

 この私闘に決着がつくまで、世界のすべての時よ、止まれ。


 次回、最終話『History』


 終わりあるものが物語なら、終わりなきものが歴史である。

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