世界観、キャラクター、ストーリー、どれをとっても隙がない

〈翅翼〉のエリス(2)まで読了。核心に触れるようなネタバレはありませんが、ほんの些細なネタばらしも受け付けない人(そんな人はそもそもレビューを読まないと思うけど)は気分を害される恐れがありますのでお気をつけください。
以下感想。

まず、丁寧に紡がれた作品世界が魅力的で、様々な作中アイテム(鉱石テレビ、魔女雑誌メイガス、無慈悲な誘精灯、ウィチペディアなどなど)が作品を賑やかせながらも完璧に溶け込んでいて、とにかく楽しい。設定のための設定ではなく、こう、ことごとく噛み合っている感じが爽快で好きです。
描写面でも、ときに軽妙、ときに重厚、ウィットとツイストが利いた語り口が、読み進める目と頭を飽きさせない。かなり好きなのが、お前いつから老婆なんだよみたいな地の文から繰り出される暴言で、ちょいちょい毒づいてて笑います。
キャラも、ストーリーの枠にはめられたりテンプレをそのまま判で押したようなキャラではなく、いい意味でのあざとさをしっかりキープしながらじゃじゃ馬のように暴れたり、野良猫のようなランダムムーブをしたりで、つまらない人間がいない。ああ主人公はいい人に恵まれてるなあ、と素直に感じることができます。
ストーリーで圧巻なのは、とにかくクライマックス。第一章のクライマックスはとにかく圧巻で(二回目)、それまで丁寧に構築された伏線やら諸々が一気に解放されて、その読後感は爽快の一言に尽きます。こう、派手なドンパチから詩的で繊細な情景に至るまで、一切合切無駄がなくて、没入できる作品です。
第二章も楽しみしかない。

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