じわじわと追いつめる、追いつめられる、男と女

きっかけは主人公にとって大きなトラウマになる出来事。
恨んでも恨み切れず、憎んでも憎み切れないはずなのに、次第に相手の調略にじわじわとはまっていく。軽蔑しているはずなのに、だんだん抗えなくなってゆき、そのうち気持ちまで色が変わっていく。そんな感情が変化していく段階を、まるでその場に居るかのようにとても詳細に丁寧に書いてあります。
一人称の淡々とした口調で語られる物語は「告白」というタイトルにぴったりで、あたかもこの主人公のそばでじっと聞いているような感覚になります。とにかく文章が読みやすい。ほんの小さな感情の機敏も取り落とさずに描いてある。
このラストを読み終えたらきっと二作目に進みたくなるでしょう。

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