第10話 主従契約準備開始

おっさんの笑いが止まると、ものすごく気持ち悪い満面の笑みで俺を見る。


「よくぞ言ってくれた!ダリーよ、ワシの期待通りの答えだぞ!」


全く何が面白いのやら、そう気楽に考えていると、またもや服の袖に重みがかかった。

この方向は、と、後ろを振り替えるとそこには涙目になって上目使いでこちらをうかがっているヘルの姿が見えた。

このロリ体型で、この目線は破壊力が強すぎるだろ。

下らない考えを思い付いてると、ヘルは口を開いた。


「本当によいのか?わらわを守るということは、お前様も命を狙われるということじゃぞ!」


ヘルは怒るかのように、俺に辞めるように説得させようとする。

一度は単に俺と一緒にいることが好まないだけだと思ったのだが、それは大きな勘違いだった。見たんだ、ヘルの目尻に残る輝く水滴を。

寂しいのは自分の癖に、他人のことを第一に考えて、自分のことは後回しで、本当に死の神という名前が会わないな。

俺は心配そうにこちらを見るヘルの頭を撫でながら、こう言った。


「ヘルを守りたいと思うのは俺の意思だ、後悔なんてしないさ、どうせ一度死んだ身だしな、生き返えるなら、人のため、ヘルの為に使うのも悪くないだろう」


ヘルはそれでも暗い表情を浮かべる。


「俺じゃ駄目か?ヘル」


そう問うと、ヘルはおもいっきり首を横に振る。


「本当に、本当にお前様は後悔しないのか?」


「あぁ、当たり前だ」


「死ぬかもしれないのじゃぞ!そしたら今度こそ……」


俺は少し冷や汗をかくも、そこは男として踏ん張る。そんなこと百も承知というかのように。

俺の心なんて簡単に見透かすのだから、そんな我慢も決意もバレバレということか。どんな羞恥プレイだよ。

そんな戯れ言を考え、辛気臭いこの状況を乗りきろうとする。

するとそんな状況へ助け船を出してくれるかのように、時の神クロノス、否、おっさんが口を開いた。


「そろそろ、契約の準備に取りかかりたいのだが、いいか?」


契約?

契約といえば、魔法的に説明するならば、生物と生物の主従関係と魔力的に関連付ける法則的なもので、つまり......?


「そう、お前と、死の神であるヘルを、契約の義にて主従関係において魔力で繋ぎ会わせるということだ、お前が言うとおり、お前の現世での契約と同じものだ、もちろんダリー、お前が従僕」


同じものだと知り少しだが安心感が湧く。

そのあと俺は頷き、ヘルも固くだが首を縦に振った。やはり俺のことを心配して、抵抗があるのだろうか、それともやっぱり、俺と契約するのが嫌なのだろうか。

いや、考えるのはやめにしよう。

そして、契約の義の準備が始まった。

何が起こるか楽しみだ!



















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愛と死にとりつかれて 高本マサレ @gushitomoki

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