第4話 オッパイ入室

それはそうと、学園に着いたからと、遅刻にならないとは限らない。

俺は心配そうな声でレイに聞く。


「なぁレイ、早く教室に行かないといけないし、教室の場所って何処かな?」


そう聞くとレイはまた笑いだす。

なにか変なことを聞いただろうか。


「何言ってるのダリリン、ここが教室の前じゃない」


俺の頭の上には疑問符が浮き上がる。

どうやら、レイは俺を、混乱させるのが得意のようだ。

いったいどういうことだ、というのも目の前も横も後ろも、教室の姿さえ見つけられない。

そんな考えてると、俺の疑問を意図も簡単に壊すようにレイは驚きの行動に出た。


「じゃあ、先に行ってるね!」


勢いよく壁に飛び込んだレイは飲み込まれるように壁へと姿を消した。


「えええぇ!」


驚きのあまり声まで出てしまった。なんだよ、これ。

恐る恐る壁に手をついてみると、手が、壁に吸い込まれた。感覚はなにもなくて、目を閉じると壁なんて無いんじゃないかとも思える。でも、目の前は壁で俺の手は見えない。

そのまま手を伸ばすと、何か柔らかいものに当たった。

なんだこれ。そう思いその柔らかいものを、手で思いっきりつかんでみる、柔らかい、これまで触ってきたなかで一番の柔らかさと気持ちよさが味わえる。

少し面白くなって、揉み揉みと遊んでみる。

その実態を確かめたく、俺は勇気を振り絞って、壁に飛び込む。

すると、そこにいたのは……

今にも泣きそうな金髪の女の子の顔だった。

そして、俺の手を見ると、その女の子のオッパイを鷲掴みにしていた。

俺は死を感じた。

すぐさま手を放して、土下座のポーズを取る。

そして、頭を下げて怯えた声で大きく言う。


「本当にすいませんでしたーー!悪気は無かったんです!」


見事な土下座、これで許してくれるはずだ!

俺は顔を上げて彼女の顔色を伺おうとしたとき、後頭部に強い衝撃が走る。


「顔を上げるんじゃないわよ!この変態!」


彼女はそう言いながら、俺の頭を、後頭部を強く、強く踏みつける!

ある一部の人たちには、ご褒美そうだけど、俺にとってはめっちゃ痛いしか感じない!


「ごめんごめんって!だからもうやめて!めっちゃ痛いから!」


彼女はヒールでも履いてるのだろうか、なんか尖った所が頭に刺さってるんですけど!


「やめるわけ無いじゃない!あなたね、人のおっ、おっぱ……む、胸を触っておいて、何か他に言うこと無いの!」


そんなこと言われたって、俺は思い付いた言葉をいつの間にか口に出していた。


「えーっと、気持ちよかったとかかな……」


俺がその言葉を言った瞬間、その空間にいた人間の声が消えた。

そして、俺は思った。

なに言ってるんだ、俺。

そして、聞こえてくるあの声が。


「こ、この……変態が!死ね!」


俺の後頭部に、これ以上、いや、普通の人間が受けてはいけないはずの、衝撃が、痛みが、雷のように走る。

俺は、気を失った。

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