第6話 神様の悲しみ

神様ってどういうことだ。

神は死んだのだから、俺も死んだから会えたって訳か、ならば納得がつく。

それでも、こんな幼い女の子が、あの聞く神様の一人だとは今でも信じられない。

死の神とか言ってたし、俺の身にはこれから何が起きるのだろうか。

冷や汗が、首を伝って服に吸い込まれる。

あぁ、せっかく学校にも行けるようになって、新しい制服で身を包んで、優雅に登校しようと思ったのに、いろんな不幸が俺を襲って、結果死ぬなんて、とんだ笑い者だな。

おっさんに合わせる顔もない。


「そうね、不幸としか言えないわね」


死の神ヘルは、俺の心を読んだのか、そんなことを口に出す。

俺は少し驚きを表した。

すると、ヘルはそんな俺を見て少し微笑む。


「ごめんなさいね、私は死の神だから、死んだ人に干渉するのは当たり前のことなのよ、だから、死んだ人の心を読むことも、操ることもできるの」


へぇーー。

俺は納得する。そして、何か話題をつかもうと相手を誉めることにした。


「それは、凄いな死者と話すことも操ることもできるなんて、それに、死を扱えるのなら神様の中でも凄いんじゃないか?」


ヘルは俺の誉め口調を耳にすると、少し落ち込みを見せる。

ヤバい、怒ったのか?


「怒ってはないわ、ただ、言わせてもらえば私の能力は有能なの、でもその反面私は悲しいのよ」


どういうことなのだろうか。

またもや、疑問が浮かぶ。


「私は死を扱える、そのため死者としか関係を持てない」


ヘルの悲しげな顔に俺はどう反応すれば良いのか全く検討もつかなかった。

でも、俺はヘルに近づいて、頭を撫でる。

神といっても、死者としか繋がりを持てないなんて、むなしすぎる。神とはそう言うものなのか。

慰めることしかできない俺は、自分自身に腹をたてる。

そんな中、向こうから何か声がした。

それは、聞き覚えのある声で、聞くたびに、喜びとイラつきに襲われるような声が。


「おーーい!ダリー!」


「この声は、おっさん!」


声の方向を向いてみると、そこには永遠のお別れと思った、俺の育て親のリリック・グローズの姿が見えた。

相変わらずの、おちゃらけた雰囲気を醸し出していて、その証拠に、歳に合わないパーマと染めた茶髪。

そんなおっさんが、向こうから手を振ってこちらに合図している。

そんな遠くから…と思ったら、一瞬のことで俺の目の前に移動した。


「うわっ!」


俺は思わず、声が出てしまう。

ていうか、なんでこんなところに?そもそも本物か?

俺は疑心暗鬼の目でジジィのところを見る。

すると、おっさんは俺の事を微笑みながらこう言った。


「ワシは本物じゃよ!ダリーよ」


これはデシャブ?

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