第8話 檻の中、鉄の空
何もかもが、可笑し、不思議、摩訶不思議に混乱してきた。
ヘルを頼むとか、いきなりおっさんは俺を誉めるし、学校とか、遅刻とかもう気にすることもできないし、ていうか、俺って死んでるし!
そんな焦ってるなか俺の服に小さな重みがかかる。
その方向をみると、ヘルは俺の服の裾を掴んで、まるで子供のような仕種を見せる。
なんか、可愛い。
その感情と考えが、俺の頭に広がって、そのおかげで、俺の焦りは無くなった。リセットされた気分だった。
完全に落ち着いた俺は、いまだクスクスと笑い続けるおっさんに話を聞くことにした。
「おっさん、俺にヘルを任せるって、どういうことだ?ボディーガードでもしろってことか?」
おっさんは俺の話を聞くと、笑いをやめて、俺の方をしっかりと見る。その目は、真面目を写したような目をしていた。そして、口を開く。
「ヘルには、神の世界でも上位の力を持っている、そう、死の力は、神さえも敵うことができない」
俺は息をのむ、確かに死は、完全な終わりを告げるもの、つまり、神様を終わらせる、殺すことだって可能なのか。
「そこで、神達が考えたのは、ヘルを有効活用することだのじゃよ、しかし、その計画は残酷卑劣なもので、ワシも読んだ時には、嗚咽が走ったわい」
自分達にとって害になるヘルを倒すことはできないから、利用することにしたのか、そんな考え、神がするべきなのか。
じゃあ、どうすれば…
「それじゃ、どうすればヘルを救えるんだよ!相手は神だぞ」
俺の意見を聞いたおっさんは、その反論と一緒に俺を指差す、そして、こう言った。
「だから、お前がいる」
おっさんの力強い言葉を理解することができなかった。どういうこと?
「計画はこうじゃ、お前の心にヘルをとりつかせて、そのまま地上に復活させる、以上!」
復活?心にとりつかせる?まただ、また訳のわからんことを次ら次へと話していく、まるで弾丸のように。
「って、言われても意味わかんないし、ていうか、生き返れるのか俺って!」
「あぁ、そうなるの」
お気楽にいうおっさんに少し嫌気がさすが、そこはみずに流すとして、やはり、まだ情報が少ない。
「おっさん、もう少し詳しく教えてくれ」
俺は、気を改めてそう聞く。これがヘルを助ける方法なら、俺でも手伝える方法なら、しっかりと聞く必要がある。
ヘルを助ける為に。
おっさんは、俺の考えを読んでか、また笑い出す。
「やっぱり、ワシが認めただけはある!しっかり聞くんだぞ、今から話すことは、お前の生命にかかる話だからの」
「わかった」
俺はこの瞬間覚悟を決めた。
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