るり子おばあちゃんの語りが優しくて可笑しくて、思わず笑いながらも癒されてしまいました。物語はテンポよく進んでいくのに、るり子さんの語りで地に足がついた落ち着きがあるというか、上品で心地良く感じます。
81歳の主人公が異世界を冒険する、という設定がすでに個性的ですが、お年寄りのカリカチュアの部分と、なるほどそう考えそうだなというリアルな思考回路の加減が絶妙で、物語がよりふくらんで見えるようでした。
孫ほど歳の離れた相棒の翔君との凸凹なバディぶりもすごく微笑ましいです。この二人の関係性は、言葉にするのが野暮な、尊いものを感じました。
年齢はおばあちゃんでも中身はひとりの女性、そういう部分もるり子さん像をより深くしています。
異世界ファンタジーは世界観が難しそうだな、とか、専門用語が分からなくて苦手だな、という方はむしろぜひ読んでみて下さい。るり子さんがほのぼのと優しく案内してくれると思います。そしていつの間にかこのおばあちゃんに魅了されていることでしょう。
不幸な事故により転生してしまった、るり子おばあちゃん。とにかく可愛らしいんです。のんびりペースと年の功で周囲の人を癒します。転生仲間の翔くんが話す若者言葉を独特な感性で翻訳し、ちょっとズレた認識のまま、何故か話は通じちゃう。
魔法アイテムのヤカンと手押し車、新たに憶えた呪文を駆使し、麦茶を振る舞いほんわか大活躍。癒しのパワー、凄かった。
相棒の翔くんがまた、毒舌だけど優しい子なんです。るり子さんを口汚く労りつつ(←)冒険をこなし、行き倒れがちなニート・ドーラさんや残念姫君コリーさんに容赦なくツッコミを入れながら、着々と強くなる!
ちらほらと恋の予感など漂わせ、彼らは不思議な絆で結ばれてゆくのですが……実は『あの人』が……!!
異世界に溶け込み、子供の頃からの憧れも実現させ、充実した暮らしの中。
るり子さんは世界の秘密に触れます。さて、どうする? るり子さん。
彼らの楽しい掛け合いと心躍る冒険を、どうぞ読んでみてください。
八十歳のるり子おばあちゃんは家の近くの工事現場に麦茶を差し入れようとして、翔君と言う十九歳の若者の事故現場に遭遇。
一緒に『異世界転生』を果たします。
転生情報に詳しい翔君は、落ち着いてスキルを見極め磨いていきますが、るり子さんはちんぷんかんぷん。
それでも自分のできること、麦茶の差し入れを続けていきます。
その麦茶には不思議な力が……
物語はるり子さんの語りで進んでいきますので、言葉遣いはまろやかで温か。
でも、ゲームも若者言葉も分からないので、時々明後日の方向へ理解が飛んでいくところがお茶目なおばあちゃんです。
翔君は言葉遣いは悪いですが、心の根は真っすぐで優しい男の子。
魔物との闘いが大変でも、決してるり子さんを見捨てたり侮ったりしません。
るり子さんも翔君に素直に感謝しながら、自分ができることを探してチャレンジしていく思慮深さとたくましさを合わせ持っています。
そんな二人の相性はばっちりで、息の合った連携プレーは思わぬ強敵も倒していきます。
ダンジョン討伐や魔道具。魅力的で個性的な仲間達。
ワクワクの冒険の日々の中で、ときめく恋の煌めきも……
何歳になっても、人は魅力的に生きることができるのだと教えてくれる物語です。
みなさんも是非、可愛いるり子さんと一緒に異世界人生を楽しんでください。
斬新なヒロインです。
おばあちゃんです。
彼女の名はるり子。
このるり子さん、とにかく素直で優しくて奥ゆかしくて、でも茶目っ気があってとにかくかわいいんです。
負けず劣らず可愛いのがヒーロー枠のショウ君。
ヤンチャな性格でありながら、その心根はどこまでも優しく、無鉄砲や無邪気があっても、慈愛に満ちています。
本作でもっとも楽しいのがこの二人の掛け合いです。
えらく年の離れた二人なんですが、すごくいいコンビなんです。
この二人、とある現場で事故にあい、同時に異世界へと飛ばされてしまいます。
ほぼ初対面の二人なのですが、ショウ君は口が悪いのにるり子さんを助け、またるり子さんはそんなショウ君の力になろうと気を配って、数々の困難に立ち向かいます。
二人のとばされる世界はまさに剣と魔法の、まさにRPGの世界。
さらにこの世界にもいろいろと謎があって、二人の冒険が徐々にその秘密を明らかにしていきます。
何度も言うようですが、二人の冒険の課程、楽しい言葉の掛け合いの数々、その奥にある心の交流、そういったものが実に楽しく描かれていて、一瞬たりと飽きる暇を与えません。
さらにこの二人に関わってくるキャラクター達の個性的な事、楽しいこと!
シリアスだったり笑えたり、時には頬がゆるんだり、物語を追いかける楽しさに満ち満ちています。
とにかく楽しい物語を読みたいなら、こちらがおすすめです。
最後の最後まで楽しめた物語でした。
相田るり子(81)、工事現場の事故を目撃してショック死。目覚めるとそこは異世界だった――
こんな異世界転生物語、他のどこを探しても見つからないでしょう。タイトルからも分かるように主人公はおばあちゃん、しかも異世界で冒険者デビュー!
るり子さん、おばあちゃんなのに頭がフレキシブルというか、慣れない異世界で何が起きてもあら素敵ね、と受け入れて楽しんでしまう柔軟思考の持ち主。ときには危険に自ら足を突っ込んでしまうのです。81年という人生経験ゆえか、旺盛な好奇心のなせるわざか。
そんなるり子さんをババア呼ばわりする相棒の翔くんは19歳、孫であってもおかしくない年齢差! 2人のかみ合わない会話が絶妙に面白いです。
暑い夏、キンキンに冷えた麦茶と一緒に味わっていただきたい作品です♪
異世界転生したのは81歳のおばあちゃん!
それから19歳の翔くん。
この年の差ありすぎコンビが異世界を大冒険っ!
若者言葉も異世界用語もまったく分からないおばあちゃん目線で語られる物語は、今までになかったほのぼのファンタジーな冒険が繰り広げられます。
冒険に疲れたらおばあちゃんが麦茶を出してくれますよ。
それだけでもう癒される♪
一方、若くてイケイケな翔くんは、口は悪いけど、実は心優しい子。右も左も分からないおばあちゃんを優しくサポート!
道無き道も、大きな難関も、ふたりならできる、ふたりだからこそできる冒険があります。
物語が進むにつれて変化していく、彼らの心情もお楽しみください!
相田るり子さん、享年八十一歳でした。
伊川翔くん、享年十九歳でした。
おばあちゃんとその孫ほども年の離れている二人は、異世界転生をしたのです。
異世界にうといおばあちゃんですが、長年の生きる知恵と優しい心の持ち方で、翔くんと共に、異世界生活をのんのんと過ごして行きます。
お年でしたが、異世界で健康を感じるようになります。
そして、おばあちゃんの心とアイテムから不思議と周りも明るくなるのです。
経験豊かなおばあちゃんから紡がれていく言葉は、どれも流れるようで、読み手を引き込みます。
こんな異世界転生を読みたかったです。
ぜひ、ご一読ください。
主人公の年齢もさることながら、平均年齢を極端に吊り上げている輩が約一名いるんですが、それは置いといて(笑)
食堂系や日常系などの流行がありつつも長らく続く異世界ファンタジーブームには食あたり気味の読者も増えつつあるのではなどと勝手に推察している私ですが、この作品にはそんな人にこそぜひ読んでいただきたい新しい感動が詰まっています。
緻密かつオリジナリティ溢れる世界を構築し、その中で個性的なキャラクター達が生き生きと動き回る楽しさと安定感はさすがの一言に尽きますが、本作の魅力はなんと言っても主人公のババ……いえ、おばあちゃん、るり子さんの人柄でしょう。
謙虚で穏やかで上品、そしてユーモアや適応力もしっかり持ち合わせた彼女と共に異世界へ転生を遂げたのは、19歳の翔君。口は悪いけどババア思いの彼をはじめ、るり子さんを取り巻くキャラクター達はそれぞれの背景を持ちつつも互いが上手く絡み合い、笑いながらもほっこりできるストーリーを紡いでくれます。
そして、異世界ファンタジーにはつきものの専用アイテムやスキル、さらには中二的二つ名など、押さえるべき鉄板設定にもこの物語ならではのスパイスがきいているのです。
ここまで書いたら、異世界に興味がないあなたも、異世界に飽食気味のあなたも、ちょっと覗いてみたくなるはず。
縁側で風鈴の音を聞きながら冷えた麦茶を飲むような感覚でどうぞお楽しみください♬
――こんな話が読みたいなと思って探していましたが、どこにもなかったので自分で書いてみました。
作者様の一文。
サラっと述べられてますが、ただ「書いてみた」だけの安いクォリティは皆無です。主人公が傘寿のヒロイン、相手役がガテン系の若者、それを取り巻く老人に優しいキャストたちとチートアイテム。「ありえない」というイメージの要素が強い異世界作品が、「もしかしたらありえるかも」というマイルドな匙加減で調整されており、老いも若きも癒されるような読み心地に仕上がってます。まさに、これから迎える壮大な『シニア世代』に、新たな可能性の一石を投じた新感覚異世界ファンタジーではないでしょうか。
――こんな話、まだまだ読み続けていたい。
せっかく切り拓いたのだから、グイグイと裾野を広げて欲しいものです☆