これは、高らかに『本物』を謳う物語

往年のRPGを彷彿とさせる重厚なストーリーとバトルの数々、そして各キャラの強烈な個性に終始惹きつけられっぱなしでした。
王道のファンタジーとは、まさにこの物語のことを言うのだと思います。

最後まで読み終えた今、思い返してみますと、本作の魅力の核となっているのは「本物とは何か?」という問いかけのような気がします。
この物語には沢山のキャラクターが出てきて、各々の目的のために動いています。
彼らは立場も状況も違うけれど、皆、本物を探して生きている。
「本物」の自分。「本物」の大切な人。「本物」の気持ち――そうやって一途に追い求め続ける彼らだからこそ、私達を惹きつけてやまない強い光を持っている。そんな気がします。

……とまぁ、こんな真面目なことを書きましたが、兄貴肌のキャラだったり、有能な上に心優しき敬語のお姉さまだったり、裏と表のギャップが激しい青年だったり、年齢不詳の母親だったり、なんだかもう本当に楽しいキャラクターがてんこ盛りです。

ストーリーラインだけ辿ってみて、王道の面白さに手に汗握るもよし。
一歩踏み込んで深読みしてみて、考察の嵐に浸るもよし。
推しキャラを見つけて、我がことのように応援するもよし。

本当に沢山の楽しみ方ができる作品です。ぜひぜひ、お読みくださいませ…!

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