癖のある登場人物達が織りなす、謎が謎を呼ぶハイ・ファンタジー

塔の一室に軟禁され、その狭い世界でのみ生きることを許された少女。
何故塔から出てはいけないのか、いやそれどころか自分が何者なのか……
塔を訪れる者達は誰もその問いに答えてくれない。
やがて少女は当然の帰結として自らの境遇に疑問を持ち、
「外の世界」に憧れを持つようになる。
とある事件が切欠で遂に「外の世界」へ出られるチャンスを得た少女は、
そこで1人の少年と運命的な出会いを果たす事になる――


随所に謎と伏線が散りばめられ、徐々に明らかになっていく世界や
主人公の秘密……見事な構成という他ありません。
世界観もしっかりと練られているようで安心して読むことが出来ます。

またこの作品の大きな特徴として、とにかく登場人物が皆
一癖も二癖もありそうな曲者揃いという事が挙げられます。
それはヒーロー役の少年エルスにしても同様です。
(あ、因みに主人公のティアは凄くいい子です)

誰がどんな秘密を知っていて、何の目的で動いているのか……
それらが明らかにならず、いつ誰が裏切るのか解らない
絶妙な緊迫感を生み出しています。

安易な異世界転生ハイファンタジーが氾濫する中、
とても重厚な雰囲気のまさに正統派ハイファンタジーと言える作品です。
オススメです。

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