第8回 【無観客試合】で思い出したコト

 彼の国より飛来した新型肺炎の猛威により、日本国内のエンターティメント業界は大打撃を受け、多数の観客を入場させる興行諸々を主催者側は規模縮小や日程の延期、はたまた興行の中止を迫られ苦汁の選択を迫られています。当然プロレス界も影響はモロ被りで【メジャー】と定義されれいる、もしくはの団体は早々に決定していた大会を中止し、一部団体主催の興行を無観客で、そしてその模様はネット配信される事を発表しました。

 ご存知の通りプロレスは「観客の前で試合を行う」事を前提とした競技で、空手や柔道などの「人からみられる事を意識しない」格闘競技とは異なります。ですから客の居ない所でプロレス独自の、試合前の入場や試合中の客席に向けて行うアピールは無意味に等しくなります。しかし日本のプロレスはテレビ放映と共に発展してきたおかげで、足りない所をアナウンサーによる実況というで補う事も可能です。


 数週間前から頻繁に聞かれる【無観客試合】というワードで、わたしはかつてインターネットを介して毎週放映されていた『19時女子プロレス』の事を思い出しました。


 2010年から2012年にかけて、さくらえみ時代のアイスリボンが本拠地である埼玉県・蕨市の道場からユーストリーム(のちにニコニコ動画へ移行)によって、団体所属選手や19時女子プロレス代表兼所属選手(というギミック)の帯広さやから出場し、毎週番組内で1~2、ときには3試合も組まれ、大会の告知など団体インフォメーションと共に生放送で全世界へ配信されていました。

 当時再び女子プロレスファンへ舞い戻っていたわたしは、手軽に女子プロレスを楽しめるこの番組に飛びつきの女子プロレスを学習すると同時にアイスリボンという団体のファンになったのでした。この番組でアイスの選手は勿論の事、当時フリーで上がっていた選手たちや外国人選手などを知る事が出来たのです。惜しむべきは《19時女子代表》であった帯広さやかが、番組開始序盤から怪我をしてしまって『19時女子プロレス』ではあまり試合をしていない事でしょうか。怪我さえなければ番組と共に、レスラーとしても成長する彼女の姿が見れたはずなのでしょうが、まぁこればかりは仕方ないですね。

 この件があってか19時女子はアイスリボンとは異なると見られる事はなく、単なるアイスリボンの宣伝番組になってしまったのが惜しまれます。結局のちに2012年以降試合は行われなくなり、完全にアイスのインフォメーション番組になってしまうのですが。


 いまやYouTubeやニコニコ動画などで、ライブイベントのネット配信は身近なものとなりましたが、それをプロレス界……いや女子プロレス界で最初におこなった、さくらえみの先見の明と行動力はすばらしい!

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