第6回 絶対不屈彼女、陥落――
アクトレスガールズ・Biginning 新木場大会 2019.08.14
残念ながら――いや、移動するべくしてタイトルは才木玲佳の元に移ったのであろう。試合後の、チャンピオンベルトを腰に巻き、自信に満ち溢れた彼女の表情を見てそう納得した。
数々の挑戦者を退けてきた初代AWG王者安納サオリ。だがこれまでの挑戦者たちには、技術やキャラクターは別にして、安納とタメを張れるほど、《輝き》は感じられなかった。彼女の持つ半端でないカリスマが、相手の輝きを消し去ってしまっていたからだ。だが今回の相手である才木はそうではなかった。世間的知名度は当然、過去参戦していた別団体では所属外選手でありながら、シングル&タッグ王者にもなった実績を持つ実力者。見劣りがないどころか安納以上の輝きをもつ《化け物》だ。
試合は一進一退の白熱した攻防。互いの武器の源である、腰や腕を集中的に攻めより試合を有利に進めようとする。お馴染みの技やムーヴの応酬の末、安納がスープレックスで畳み掛け勝負を付けようとする。だが才木もフィジカルの強さで回避しスリーカウントを奪わせず、負けじとクローズラインやバックブリーカーでじわじわと追い込んでいく。
遂に――安納のドラゴンスープレックスが炸裂した。数多の挑戦者を葬ってきた最上級の必殺技だ。だが、これもギリギリの所で返してみせる才木。勝負の女神が安納から目を離した瞬間だ。この時点で才木はまだ、ふたつの必殺技を持っていた。武藤敬司から譲り受けたシャイニングウィザード――安納はこれを二度被弾し二度際どいところで退けた。そして彼女最上級の必殺技・ジャックハマーがズバリと決まると、精魂尽き果てた安納はキックアウトすることも出来ず、才木の下でスリーカウントを聞く他はなかった。王座移動、新王者誕生の瞬間であった。
数多の挑戦者たちが遂に倒せなかった、アクトレスガールズの《象徴》安納を倒してしまった現在、団体内でこれといった次期挑戦者は見当たらない。試合後に少し絡んだ本間多恵かもしれないし、無限のポテンシャルを持つ有田ひめかかもしれない。だが去り際にニヤリと微笑んだ安納サオリ――まだまだ《絶対不屈彼女》の闘志は消えてはいないのだ。
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