第5回 絶対不屈彼女 vs 剛腕怪力ガール
アクトレス・ガールズという団体があるのをご存知でしょうか?
『女優によるプロレス団体』をコンセプトに2015年に旗揚げした、所属する選手たちはみな女優や声優など芸能活動と並行してプロレス活動をしています。それ故に他の女子プロレスラーやファンたちからは「女優崩れがプロレスしてる」「プロレスを舐めている」と揶揄される事がありますが、彼女たちは至って真剣に、そして真摯に練習や試合に取り組んでおり、お気に入りの選手の成長過程を楽しむ事も、この団体の楽しみのひとつでしょう。
そんなアクトレス・ガールズの《エース》といえる存在が
そんな安納サオリの現時点での、個人的ベストバウトは2018年1月26日――新木場1st RINGで行われた対
Twitterだったか観戦記だったか忘れてしまったのですが、とにかく「凄い試合」という情報を聞いて試合動画が観たくて観たくて仕方がなかったのですが、実際DVD観戦した感想は――やっぱり凄い試合でした。
団体創立時の仲間でありながら袂を分かった尾崎との試合は、複雑な感情の中で安納は、《外敵》となったかつての仲間から、団体の威信と至宝であるPOP王座を守らなければならないという重い枷を付けての闘いとなりました。
ウエイトリフティング経験者で、パワーに絶対の自信がある尾崎は徹底した腰攻めにより、スープレックス技等を得意とする安納へダメージの蓄積を図らんとし、対する安納も腕攻めで彼女の怪力を殺さんとします。
セントーンやラリアット、それに必殺技であるアルゼンチン・バックブリーカーで再三再四追い込む尾崎でしたが、《絶対不屈彼女》のニックネーム通り安納の闘志が消える事はなく勝利へのチャンスを狙います。そして――フィニッシュ狙いの、コーナーからのセントーンを避けられ、自爆してしまった尾崎に対し渾身のジャーマン・スープレックスを決めたのを皮切りに、何度も何度もスープレックスでフォール勝ちを狙いますが、尾崎は何とかこの猛攻を意地で返し、簡単にはフォールを奪わせません。一進一退の攻防の末、遂に最後の切り札であるドラゴン・スープレックスが炸裂し、尾崎妹加のベルト奪取の野望は儚く散ったのでありました。
試合後、道半ばで袂を分かった元・仲間である尾崎に対し安納は
「この《絶対不屈彼女》を生み出したのは妹加です。妹加がいたからこそわたしは《絶対不屈彼女》になれたんですね。だから……ありがとうございました」
と感謝の言葉を口にします。
仲の良かった仲間が去ってしまい、ひとり残され寂しさもあったでしょう、恨み憎しみも何度も湧いたでしょう。それを彼女は団体を成長させる事を目標に、新しく入ってきた仲間たちと共に闘い続け、脇目もくれずひたすら突っ走ってきた結果、それを自分なりに消化する事ができたのです。
この安納のマイクに、おっちゃん(笑)は柄にもなく感動してしまうのです。
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