第11回 吠えよ、東北ストロング魂!
よく媒体などでは《初代タイガーマスク(佐山聡)の秘蔵っ子》などと紹介されているが、特に深い関係はないらしい。
アイドル寄りな選手やアニメキャラのような選手たちが多数いる孤高の団体・東京女子プロレスに所属する選手で、天然・ギミック等々個性派ぞろいなメンツの中、彼女は《東北ストロング魂》のキャッチフレーズ通り、目に留まるような派手さはないが、堅実なレスリングでトップを目指し日々闘っている。
今回、前王者が返上して空位となった《インターナショナル・プリンセス王座》の王者決定トーナメント参加が決まった。はっきりいって王者経験者である中島翔子以外は、あまりにも余りもの的な参加選手の顔ぶれだが大抜擢に変わりはない。
トーナメント一回戦は、ほぼ同期の(三か月差)
試合はリストの取り合いや逆エビ固めの攻防など、前後で派手なコスチュームで闘う選手たちと比べ至って地味だ。だがそれが却って競技性を醸し出していて実に良い。双方とも目指すはインターナショナル王座ただひとつ、ここで勝たなければ先へは進めない。
結果、破壊力あるフィニッシャーのない真弥が失速し、地力で勝る魅星が最近フィニッシャーとしている柔道技の腕がらみ――ミラマーレで勝利、準決勝へと駒を進めた。
結局男性プロレスファンが魅せられるのは、勝負論のあるレスリング勝負。
スターダムがあれほど既存男子団体のファンを取り込めたのは、アイドル並みのビジュアルを持つ選手たちが、ガチ当たりな男子並みの試合をするからだろう。魅星にはこのまま真っ直ぐ、かつて在籍していた優宇のように、己の強さを《個性》とするような選手に育っていって欲しいものだ。
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