一方通行のタイムトラベラー

これは狙撃の才能を持った青年が絶望的な戦いを生き抜いていく物語だ。

この物語を読み始めて最初に思い出したのは高校時代に読んだロバート・A・ハイラインの「夏への扉」だった。

かの主人公と同様に「Doggy House Hound」の主人公「トウジ」もコールドスリープで過去から未来へとやってきたある種のタイムトラベラーだ。

そこから繰り広げられる物語は大きく違うが、物語の心地よさと主人公が元居た場所と違う場所に来てしまった「異邦人」としての孤独感が私にこの物語と「夏への扉」を関連付けさせた。あとペットとか。もっともあちらは猫でこちらは犬だけれど。

かなりシビアな世界を主人公は戦い生き抜いていく。その狙撃の才能と12体+1匹の相棒と共に。
一人称で淡々と時折ユーモアとブラックユーモアを交えて語られるこの物語だが、その語り口からは優しさと暖かさも感じ取ることができる。

素晴らしく心地よい作品でした。

「スカイ・クロラ」とか「All You Need Is Kill」とか「極大射程」とかがお好きな方も是非どうぞ。

読み終えたら珈琲でも飲んでこうつぶやこう――――――「成程」と。

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