始めはブラックユーモアに満ち溢れたコメディファンタジーかと思っていた。
だが読み進めるうちにその認識が誤りである事に気付かされた。
コミカルなオープニングのあとに転生者である『僕』に訪れたのは悪意ある邪神の加護を受け、過酷な環境と勇者に命を脅かされる日々。
彼が転生したのはゴブリン。
ファンタジーでお馴染みの序盤の雑魚的。
最底辺の脆弱な肉体。
文明的というにはお粗末すぎる環境。
真の意味で信頼できる者のいない仲間たち。
強者と思っていたものですらさらなる強者に踏み潰される。
これは完全に打算的になれるほど強くなく、弱者を見捨てられないほどに弱くもない『僕』の物語。
翻弄される彼はどこまで生き延びられるのか。
そうそう、第44話に出てきたゴブリンのモットー、「誰かが生き残れ」はグッときました。