百鬼夜行も恐くはない! あたらしき女、街を行く

明治三十年の東京。高辻男爵家の令嬢・環蒔(たまき)は、海老茶色の女袴にブーツ姿のハイカラさん。「あたらしき女」を自称する彼女は、煉瓦も瓦斯灯も電気も恐くはない。勉学をし、小説を読み、新しいものを取り入れる意気満々。ところが、彼女の耳に入るのは、奇妙な噂話――銀座に百鬼夜行? 化け犬が現れた?
高辻家に養われている書生の溝口は、お嬢さまの御守を任されてはいるものの、彼女の向こう見ずな正義感に振り回されてばかり。しかし、実は彼にも秘密があった。

未だに頑迷な思想の濃い明治において、元気いっぱいな環蒔ちゃんが、可愛らしいです。書生さんの一人称も、当時の社会風俗も、お洒落な雰囲気に満ちています。
ハイカラさんの明治東京妖怪譚、お薦めです。

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