ハイカラお嬢さん&書生さん、帝都を駆けまわる!

お転婆でハイカラな「あたらしき女」のお嬢さんと、そんなお嬢さんに振り回される、ある事情を抱えた書生さんのドタバタあやかし事件簿。
このあらすじだけでもときめきに満ちているのに、あやかしが出たと聞けば、鉄砲玉のように駆けていく元気いっぱいなお嬢さんと、嫌そうに、だけどもなんだかんだで放っておけずにお嬢さんに付き合ってしまう書生さんのふたりが、冒頭から微笑ましくてたまらない。

さらにふたりが駆けまわる、明治時代の帝都のあやしさ。
日が暮れれば、ガス灯をともす点灯夫が街を歩き、不穏な文士、狐憑き、百鬼夜行に、化け犬騒動。情感たっぷりに描き出される街の描写がまた物語を引き立てる。
そして、あやしき街を生き生きと駆け巡り、言いたいことを言い、くるくると表情を変化させるお嬢さんの躍動感が、不穏な気配のざわめく物語にぽっと灯りをともしていて、飽きさせない。

今日も元気いっぱいのお嬢さんの背を追って、文明開化の街を旅したくなる。

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