孝行娘の奉公先は、禁呪をうけた龍の隠れ家?

この世には、常人の目には見えない『蟲』と呼ばれるモノがいる。その蟲を使役する術を、「蟲招術(ちゅうしゅうじゅつ)」という。
幼い頃に死に別れた母親から、その才能をわずかに継いだ楊明珠(よう めいじゅ)は、義父の作った借金を返済するため、勤めに出ることに。好条件な奉公先は、蟲招術の宮廷術師を輩出している名家「蚕家(さんけ)」だ。賊に追われ、咄嗟に蚕家の敷地へとびこんだ明珠は、御神木から落ちてしまう。彼女をうけとめたのは、たまたま木の下にいた青年だったのだがーー?
やたらと厳しい上司・季白(きはく)と、腕っ節は強いが甘党な護衛・張宇のもと、明珠はクビに怯えつつ、『特別手当』の言葉に誘われて侍女として働き始めるのだが。青年・英翔には、重大な秘密があった。


導入部からテンポのいい展開につられ、一気に読み進めてしまいます。弟は可愛いけれど、呑んだくれて決してよい親とはいえない義父のために頑張る明珠が、健気です。決して悲壮感に浸らず、前向きな彼女を、つい応援したくなります。英翔、季白、張宇の主従トリオの遣り取りも、イッチャッタ感のある蚕家当主の言動も、個性的で面白い。明珠と英翔の波乱万丈な恋路には、最後までドキドキさせられます。
中華風少女小説がお好きな方に、お薦めです。勿論、続編も拝読します💕

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