撫子踏まずに焔を背負え

作者 秋保千代子

恋は匂えど散りぬるを、それでも咲かせん江戸の花

  • ★★★ Excellent!!!

舞台は天保時代、江戸の千住。

兄を探して遥々この地へとやってきたヒロイン・結衣は、危ういところを相模と名乗る男に助けられ、榮屋で働くことになり――というところから物語は始まります。

この相模がとにかくカッコイイ!
女性の目から見てももちろん、訳ありの男衆達からも人気があるのも頷ける問答無用の格好良さ。
飄々としていながら心にはしっかりと熱いものを持ち、怖そうに見えて誰よりも優しい彼の人柄に、結衣だけでなく私も惚れてしまいました。

また結衣という女性も素晴らしく魅力的。
健気で純真で無垢で、時に悩み時に言いたいことを言えずに立ち竦みますが、しっかりと芯の強さを秘めていてます。もどかしいまでの共感を覚えただけでなく、気付けば夢中になって、彼女を心から応援していました。

結衣の行く道は、決してやさしいものではありません。
しかし榮屋で出会ったたくさんの人々の人情に支えられながら、彼女は悲しみや辛さ、苦しみを乗り越え、己の『居場所』を見付けるのです。

襲い来る様々な苦難に手に汗握る場面も多いのですが、その度に結衣の真っ直ぐさ、相模の男っぷり、他の登場人物達の魅力が際立ち、雨降って地固まるの諺の如く、一層作品の世界に惹き込まれていきました。

歴史が得意でなく、時代物小説にハードルを感じている私のような方にもオススメ!

温かさとやるせなさ、甘酸っぱさと切なさ、そして可愛さと格好良さ、様々なものに包まれた恋物語を、江戸の空気と共に味わって下さい!!

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★★★ Excellent!!!

恥ずかしながら時代物の小説を読むのは初めてだったのですが、冒頭でのヒロイン結衣さんの危機とそれを救う相模さんの二度の出会いに引きつけられ、舞台となる榮屋とそこに出入りする人々を眺めているうちに、気づ… 続きを読む

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